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なぜ原油ETN・ETF 価格は上がらないの? 


2020年原油ミステリー

今年は、前代未聞の原油安を受けて、原油先物や原油ETN/ETFが注目を集めています。「安値買い」を狙った方も多かったのでは?

しかしその後、こんなふうにモヤモヤしていませんか!?

「原油価格はそこそこ上昇したのに、原油ETN/ETFはそれほど上がってない…どうなってるの??」

今回は、この「原油ミステリー(?)」の真相に迫りたいと思います!


原油先物と原油ETN/ETFの値動き比較

東京商品取引所に上場されているプラッツドバイ原油(東京原油)先物価格は、4月に今年の最安値16,240円をつけました。

ほぼ同時期に【2038】NEXT NOTES ドバイ原油先物 ダブル・ブル ETN(原油ETN)と、【1699】NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス上場(原油ETF)も、今年の最安値を付けています。

それぞれの10月29日時点の価格を見てみますと、東京原油先物は26,310円と、最安値から約62%高くなっています。

それに対して原油ETNは201円で約45%上昇、原油ETFは96円で約47%上昇となっています。一応上昇してたんですねΣ(゚Д゚)! ではなく、原油先物との上昇幅とはかなり差が出ています。

これは一体、どういうことなのでしょうか?


【2038】原油ETNの特徴

【2038】原油ETNは、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスNVが発行する、「日経・東商取原油レバレッジ指数」への連動を目指したETNです。

ちなみにETNとは、「Note=債券」で、裏付け資産はありませんが、信用力の高い金融機関が発行している金融商品の一種です。

「日経・東商取原油レバレッジ指数」の日々の騰落率は、「日経・東商取原油指数」の騰落率の2倍として計算されています。

…大雑把に言いますと、東京原油先物価格が10%上昇すれば20%上昇、10%下落すれば20%下落するように作られたETNです。

日々の計算となるため、長期保有すると、期間騰落率はずれていきます。また、計算上、マイナス方向へずれやすくなっています。

例えば、東京原油先物が①20,000円→②19,000円→③20,000円と動いた場合、

騰落率は①→②が-5%、②→③が約+5.26%となります。

①の時のETN価格が200円だったとしますと、

①→②は-5%×2で-10%となりますので、②は200-(200×10%)=180円となります。同様に、②→③は+5.26%×2で+10.52%となりますので、③は180+(180×10.52%)=約199円となります。

原油先物価格は20,000円に戻ったのに、ETN価格は200円に戻ってない⁉「日々の計算」ってそういう意味なんですね…

価格が続伸している時は順調に上がりやすいのですが、マイナスの日を挟むと上昇幅が削られてしまうので、長期保有には向かなさそうです((+_+))


【1699】原油ETFの特徴

【1699】原油ETFは、「世界の原油先物取引の中から、取引量が多く流動性が十分あるものを構成銘柄として採用し、原油価格の値動きに連動することを目的とする」指数ETFです。

…ざっくり言いますと、世界で取引されている原油価格に連動するETF(上場投資信託)です。主にドル建ての原油が採用されていますので、ドル円相場の影響も受けます。

また、ETFですので、発行会社は連動を目指す原油先物を裏付け資産として購入しています。原油先物には期限があり、期限までに決済をしないといけません。しかも、「限月」ごとに価格も違います。

☛ 参考:限月(げんげつ)って何?

ETFには期限がありませんが、発行会社は購入していた原油先物の期限が来る前に、それ(期近物)を売って期限が先の物(期先物)を買い直さなくてはなりません。

この際、原油の期先物の価格が、売った期近物よりも高かった場合、新たに購入できる原油先物の枚数が減ります。そうすると、裏付け資産の保有量が減り、ETF価格は相対的に下振れしやすくなってしまうのです。

逆に、期先物の価格が売った期近物よりも安ければ、ETF価格は相対的に上振れすることになりますが、先物価格は基本的に期先物の方が高くなりやすいため、原油ETFは下振れしやすい性質があると言えます。

✿✿✿✿✿

ETFやETNは気軽に売買できる反面、こんなカラクリがあったとは…盲点でした(@_@;) 


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