コーヒー投資の基礎知識
コーヒーの歴史
コーヒー豆は、コーヒーノキから採取されるコーヒーチェリーの種子です。
世界で最もよく飲まれている品種であるアラビカ種の原産地は、エチオピア南西部の高地と言われています。
一説には、9世紀頃のエチオピアで、ヤギ飼いの少年カルディが、山の木に実る赤い実を食べたヤギが、興奮して飛び跳ねることに気づき、この実が修道院で眠気覚ましに使われるようになったそうです。
古くはコーヒー豆を煮て食用にしていたとみられ、現在のように焙煎された豆から抽出された飲料としての利用は、13世紀以降に行われるようになったようです。
コーヒーの生産
世界で栽培されているコーヒーノキは、大きく分けて「アラビカ種」と「ロブスタ種」の2種類あります。
NYコーヒーの対象商品となっている アラビカ種は、主に亜熱帯性気候の標高1,000m程度の地域で栽培されています。
南半球のブラジル、コロンビアなどでは5-9月が収穫期にあたり、北半球の中米諸国やエチオピアでは、11月頃から収穫期となります。
アラビカ種は高品質で、世界で生産されるコーヒー豆のおよそ6割を占めています。
一方、ロブスタ種に比べ、デリケートで気温の変化や病気に弱い品種でもあります。高温多湿や低温に弱く、霜害・乾燥にも弱いため、生産量は天候の影響を受けやすい傾向があります。
コーヒーの価格
アラビカ種のコーヒー豆はニューヨークICE商品取引所で、ロブスタ種のコーヒーはロンドンの欧州ICE商品取引所で取引されています。
先物市場での価格が、コーヒーの実や生豆の生産者価格に直結しています。
国際コーヒー市場は、需要・供給とも価格弾力性が低く、価格が上昇しても需要は減りにくい一方、植えてから実がなるまで3~5年かかるため、供給もすぐには増えません。
このような特徴から、コーヒー相場は長期の過剰生産による低価格の時期(バスト)と、短期の生産不足・高価格の時期(ブーム)のサイクルを繰り返してきました。
また、地球温暖化の影響などによる生産減も懸念されています。
コーヒーの生産量・消費量と輸出量・輸入量
コーヒーは、欧米を中心に世界中で消費されている一方、生産できる地域が限られています。
世界最大の生産国ブラジルでは、生産量の約70%がアラビカ種、残りの約30%がロブスタ種となっています。また、第4位のコロンビアは、ほぼ100%がアラビカ種の生産となっています。
アラビカ種は異常気象や病害に対して非常にデリケートで、生育には、気温は23~28℃で、2~3ヶ月の乾燥期間とともに、年間1,500~2,000mmの雨量が必要とされています。生育期の高温・乾燥や、収穫前の霜害などで、生産量が大幅減となるリスクが常に意識されやすくなっています。
一方、第2位・第3位のベトナム・インドネシアでは、生産量の90%以上がロブスタ種となっています。東南アジアのコーヒー生産国が、世界のインスタントコーヒー消費を支えていますが、これらの国では最近、収益性の高い作物への転換も増えているようです。
コーヒーの需給見通し
ICOの4月のコーヒー市場レポートによりますと、世界のコーヒー生産量は、2021/22には前年比1.4%減となりました。
2022/23には1.7%増の1.713億袋に回復する一方、2022/23の消費量は、1.7%増の1.785億袋となり、世界のコーヒー市場は、今年も供給不足となることが予想されています。
ロブスタコーヒー 15年ぶりの高値
ロブスタコーヒー先物は、2023年5月、2008年3月以来となる2675ドル/トンの高値を付けました。
世界第1位のロブスタコーヒー輸出国ベトナム、第2位のインドネシアで、大雨の影響などで生育・収穫が進まず、生産量・輸出量が大きく減少したことが原因です。
米農務省の海外農業サービス(FAS)は、インドネシアの2023/24の生産量は前年比20%減となり、ベトナムは生産量が5%増となるものの、輸出量は3年ぶりの低水準にとどまると予想しています。
世界第3位の輸出国であるブラジルは、2023/24年産の収穫を開始しており、年後半には同国からの供給が、不足を補うことが期待されています。
しかし、アジアでのロブスタ供給は非常に逼迫しており、ブラジルからの300万袋の輸出(予測の上限)が実現しても、需給ギャップを埋めるには十分でない可能性があります。
アラビカ種の価格が2年連続で高騰していたことで、比較的安価なロブスタ種への需要が増えていたことも、需給逼迫に拍車をかけているようです。
ロブスタ価格の高騰は、アラビカ価格にも波及しているようです。足元は180セント前後となっていますが、需給逼迫が続けば、昨年の高値260.45セントを目指す展開となるかもしれません。
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