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砂糖投資の基礎知識


砂糖の歴史

砂糖は、1世紀前後のインドで、サトウキビから作られたのが始まりと言われています。英語の「sugar」は、サンスクリット語の「sarkara(サトウキビ)」からきているとも。

その後、中国や中東に伝わり、日本に初めて伝わったのは、奈良時代と言われています。

11世紀には、十字軍が持ち返った砂糖がヨーロッパに広がりましたが、当時は非常に高価な商品だったようです。アメリカ大陸に砂糖が伝わったのは、16世紀頃と考えられています。


砂糖の原料作物

砂糖の主な原料は、サトウキビとテンサイです。サトウキビは、主に熱帯や亜熱帯地域が主要産地となっています。一方、寒冷地でも育つテンサイは、ロシアやフランスで多く生産されています。

国際砂糖機関(ISO)によりますと、現在、およそ110の国で、サトウキビ/テンサイから砂糖が作られています。そのうち、約80%が、サトウキビを原料としています。

米ICE商品取引所に上場されているNY砂糖No.11先物(SB)は、サトウキビを原料とする粗糖(精製前の砂糖)を対象とした先物で、砂糖価格の国際指標となっています。




砂糖の値動き

砂糖は、農産物の中でも価格変動の大きな商品の一つと言われています。

その理由としては、

①砂糖は生活必需品であり価格弾力性が低いこと、
②砂糖需給が逼迫してもサトウキビ生産には一定期間(12~18か月)を要すること、
③各国の保護主義的な砂糖政策の影響を受けやすい市場構造であること、

などが挙げられます。



砂糖の生産量・消費量と輸出量・輸入量


砂糖は、生産量・消費量ともにインドがトップとなっています。インドは、国内価格の高騰を抑えるため、農作物の輸出制限を行うこともあり、砂糖もその対象になることがあるため、合わせて注目されています。

一方、輸出量はブラジルがトップとなっています。ブラジル・インド・タイの輸出量トップスリーの、サトウキビ生産動向や収穫高見通しが、供給面の材料として注目されやすくなっています。


サトウキビの使用用途

砂糖作物は、ほとんどが食用砂糖に加工されていますが、一部の国、特にブラジルでは、生産されたサトウキビの半分以上が、バイオディーゼルに加工されています。

ブラジルでは約7割の工場がサトウキビを原料とする砂糖・ディーゼル双方の生産設備を備えていて、収益性を計りながらそれぞれの生産量を決定しています。

ブラジルでガソリン価格が上昇すると、バイオディーゼルへの需要が増え、サトウキビからバイオディーゼルが多く作られるようになるため、結果として砂糖の生産量が減少し、砂糖価格が上昇する傾向があります。

逆に、2022年には、国営石油会社ペトロブラスが政府の意向を反映する形で、ガソリン価格の値下げを実施し、砂糖価格が低下する場面もありました。




在庫動向

在庫量は、供給過剰/不足をはかるバロメーターとなります。

在庫データは、米農務省(USDA)が四半期ごとに発表している全米穀物在庫データや、同じくUSDAが毎月発表している世界農産物需給予測(WASDE)などが、材料として注目されます。

また、期末在庫量を消費量で割った「期末在庫率」は、高ければ砂糖価格が下がり、低ければ砂糖価格が上がる傾向があります。





2023年 エルニーニョ現象と主要生産国

米海洋大気庁(NOAA)は、2023年、ラニーニャ現象が終息し、5-7月以降、エルニーニョ現象が発生する可能性が高いと予測しています。

エルニーニョ現象が発生すると、世界各地で干ばつ、洪水、暴風雨などの異常気象を引き起こすとされています。

サトウキビにとって、生産地での干ばつ、高温、長雨、洪水などは減産要因になります。一般的に、干ばつは生育を阻害し、洪水は長引くと糖度の低下をもたらします。



✿ブラジル

ラニーニャ時は通常、ブラジル北東部で雨が多く、南部で干ばつが発生しやすくなります。一方、エルニーニョ時は、南部で雨が多く洪水が発生し、北東部では 干ばつが悪化しやすくなります。

オランダのラボバンクは、今年Q2とQ3には記録的な穀物出荷で、砂糖の出荷が制限される可能性とともに、年後半にはエルニーニョの脅威が予想されることから、砂糖価格の基本的な見通しは強気と指摘しています。


✿タイ

エルニーニョ現象の影響により、タイでは今後数ヶ月間、高温・乾燥の状態が続くと予想されています。2023年5月には、一部地域で45.4℃を記録し、2016年4月28日に記録された44.6℃の過去最高気温を更新しました。

タイの2023/24年のサトウキビ収穫量は、約7400万トンと予想され、2022/23年から21%減少すると見られています。

エルニーニョ現象の影響により、タイでは今後数ヶ月間、高温・乾燥の状態が続くと予想されています。

2023年5月には、一部地域で45.4℃を記録し、2016年4月28日に記録された44.6℃の過去最高気温を更新しました。

タイの2023/24年のサトウキビ収穫量は、約7400万トンと予想され、2022/23年から21%減少すると見られています。

タイでは、収益性の高い他作物への転作も進んでおり、国際砂糖ブローカーのCzarnikowによりますと、サトウキビの栽培面積は少なくとも5%減少するとの見通しを示しています。


✿インド

インドでは、エルニーニョ現象はモンスーンパターンに変化をもたらし、干ばつを引き起こす傾向があります。国土の約半分は灌漑設備が整っていないため、干ばつはインドの農作物生産に大きなダメージを与えます。

過去30年で最悪の干ばつとなった2009年には、農作物の生産量が前年比10%減となりました。

一方で、昨年のコロナ禍で縮小していた需要が回復し、今期は過去最高の2800万トンに達する可能性も指摘されています。

増加する需要に対して供給が制限され、価格が高騰した場合、インド政府が輸出制限をかける可能性も指摘されており、国際市場での需給ひっ迫も懸念されています。



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