大豆投資の基礎知識

大豆の歴史

大豆の起源は非常に古く、中国東北部からロシアのアムール川流域が原産地とされています。中国では4000年以上前から栽培が始まり、日本には縄文時代に伝来したと考えられています。古事記にも「五穀(稲・麦・粟・小豆、大豆)」の一つとして記されているなど、稲作とともに長い歴史があります。
欧米には、17-18世紀頃に日本から伝わったとされ、最初に輸入された大豆食品は、フランスのルイ14世のために日本から持ち込まれた醤油だったとも言われています。ルイ14世は醤油で何を食べたんでしょうね?@-@?
ちなみに、米国で大豆の栽培が広まったのは1930-40年代で、第二次世界大戦によって食用油の輸入が止まってしまった影響が大きかったようです。1942年に中国を抜いて以降、米国は長年、世界最大の大豆生産国でしたが、ここ数年はブラジルに迫られる状況が続いています。
大豆の用途は?

日本では、豆腐や納豆など、食品としてのイメージが強い大豆ですが、実はそれ以外の用途の割合が非常に多いんです。
世界の大豆の消費動向を見ると、大豆ミールと大豆油を生産する「圧搾需要」が中心であり、食品需要などの割合は、非常に少なくなっています。
大豆を圧搾してとれる大豆油は、最も代表的な植物油で、サラダ油やマヨネーズ、マーガリンの原料として使われています。さらに、大豆油からはバイオディーゼルなどのバイオ燃料も生産されています。
大豆ミールは、大豆油の搾りかすを粉末状にしたもので、主に家畜用の飼料として使われます。
大豆から、大豆油と大豆ミールを生成する場合は、大豆1粒の3/4弱が大豆ミール、1/5弱が大豆油になる、といわれています。
大豆の生産量と輸入量

世界の大豆生産はアメリカとブラジル、アルゼンチンで約80%を占めています。
これらの主要な生産国で、高温、干ばつ、虫害などの問題が起これば、大豆の価格には直接的に影響を及ぼします。
一方、大豆の最大の輸入国は中国となっており、世界の生産量の約6割を占めています。いわゆる“爆買い”と呼ばれるような状況となっています。
約13億の人口を擁する中国では、富裕化に伴う食生活の変化で、肉食や外食が増え、大豆油の需要も、家畜の飼料となる大豆ミールの需要も増大しているのです。
大豆価格の変動要因

大豆価格の主な変動要因は、「供給」「需要」「在庫」です。
以下で少し詳しく見ていきましょう。
天候相場(4-9月)=供給主導の相場
生産量トップの米国の場合で見てみます。
米国では、大豆の生産期間である4-9月期は、生産動向が価格変動の主要因となる「天候相場」となります。
ポイントは、「作付面積」と「作柄確定までの天候」です。
「作付面積」については、3月末に米農務省(USDA) が発表する「作付意向面積」や、6月末の「確定作付面積」などのデータも参考になりますが、作付時期(5-6月中旬)の天候や、トウモロコシなど競合作物の価格なども、大豆価格に影響を与えることがあります。

米国では、トウモロコシと大豆は同じ畑で栽培するところが多くなっています。
つまり、トウモロコシの畑が増えれば大豆の畑が減り、大豆の畑の面積が増えればトウモロコシの畑は減る、ということになります。
トウモロコシの作付時期は、大豆の約1か月前ですので、この時期に天候が安定せず、トウモロコシを生育するのは難しいと判断されれば、その年は大豆の生産が増え、トウモロコシの生産が減る、ということになります。
また、大豆の単収増加につながる、生育時期の良好な気候条件は、大豆価格の弱材料に、逆に悪天候は強材料になる傾向があります。
需給相場(10-4月)=在庫主導の相場
作柄が概ね確定し、在庫量(+南半球の生産状況)と消費量のバランスで価格が動くのが、大豆の「需給相場」です。
ポイントは「在庫動向」と「需給動向」です
「在庫動向」については、USDAが四半期ごとに発表する「全米穀物在庫」や毎月発表の「世界農産物需給予測」が参考になります。中でも「期末在庫率(期末在庫÷消費量)」は注目され、大豆の場合、期末在庫率が10~15%で適正水準、10%を下回ると逼迫状況にあると言われています。
「需給動向」については、大豆ミールの飼料需要や大豆油の食用需要、大豆油のバイオディーゼル需要の他、毎週公表される輸出需要データも注目されます。
また、中国は、大豆の輸入を米国・ブラジル・アルゼンチンの3カ国にほぼ100%依存しており、中国の輸入動向が大豆価格に与える影響も大きくなっています。
まとめると、こんな感じです。

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遠藤 結香
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