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シェールブーム負の遺産 廃井処理の現実とは?

シェール廃井問題とは?

米国のシェール油井は、概ね1~2年で枯渇するとされています。使えなくなった油井は、所有企業によって適切に処理されるはずなのですが、実際にはそのまま放棄されているものも多いようです。

また、2015年以降、200社以上のシェール企業が倒産していることに加えて、2020年コロナショックの影響で、未処理の廃井は増加しています。

ノースダコタ州資源局のリン・ヘルムス局長は「今年3月・4月だけで、未処理の廃井が400近く増えた」と述べています。

廃井が適切に処理されないと、どうなるのでしょうか?

ロイターによると、未処理の廃井は2018年時点でおよそ320万あり、そこから放出されるメタンガスの総量はおよそ281キロトンになると推定されています。

これは、1,600万バレルの原油を使用した時に発生する量とほぼ同量で、気候変動に与える影響も小さくありません。

また、土壌や地下水の汚染、有毒物質が空気中に放出される危険や、爆発を引き起こすリスクも指摘されています。

シェールブームで爆発的に増えたシェール油井が、膨大な負の遺産となってしまっているようです。現在の処理ペースでは、全て処理するのに数千年かかるとの試算もあります。

廃井処理にかかるコストは?

廃井を適切にふさぐのにかかるコストは、シェール業界で通常想定されているコストの10倍―カーボン・トラッカーが最新のレポートで指摘したのは、驚きの事実でした。

シェール企業がバランスシートで採用する典型的な廃井処理コストは、1油井あたり20,000~40,000ドルとされ、公的機関でもこの額がそのまま採用されることが多いようです。

しかし、カーボン・トラッカーは、廃井処理にかかる正確な費用は「業界の秘密の一つ」で、実際には1油井あたり300,000ドルになると指摘。最高で100万ドルかかるものもあるといいます。

放棄された廃井処理の負担は、地元自治体や州に重くのしかかっています。

公的負担ということは、廃井処理に税金が投入されるということになります。これはシェール企業に対する大規模な補助金にもなり得るため、問題視されています。

カーボン・トラッカーは「企業が処理をしなければ、土地所有者や市民、環境につけが回る」と警告しています。今後は、企業があらかじめ廃井処理コストを負担する形になっていくことも考えられそうです。

そうなると、採算コストが上がり、米シェールオイルの生産は、ますます難しくなるでしょう。

積みあがった負の遺産が、シェール業界の衰退を加速させるきっかけとなるかもしれません。


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遠藤 結香

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA®)資格を持つ、さくらインベストのチーフアナリスト。堪能な英語力で、国内外の最新情報をカバー。

 

 

 

 

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