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債務拡大で金は長期上昇?

新型コロナで各国債務がさらに膨張!?

新型コロナの感染拡大による経済への打撃を和らげるため、各国政府や中央銀行が、大規模な経済対策を行っています。

もちろん、他に選択肢のない措置ではありますが、コロナ前から指摘されていた各国債務の膨張は、今後どうなっていくのでしょうか?

IMFの各国債務(GDP比)見通しを見ますと、2020年は新型コロナへの対応で、債務が急拡大しているのが分かります。

IMFによると、2020年の日本政府の債務はGDP比で251%となる見通しとなっており、これより高いのはスーダンだけで、ギリシャよりも高くなっています。

また、米国政府の債務は同131%と、前年の109%から上昇する見通しです。131%というのは、第二次世界大戦直後よりも高い水準です。

米財務省は、2020年4-6月期に、 四半期ベースでは過去最大となる約3兆ドルの借り入れを行う計画を発表しています。2019年の借り入れ額は約1.3兆ドルでしたので、相当大規模な借金です。

コロナ前から、財政赤字を補うためなどに膨らんでいた米政府の債務は、6月中旬には約26兆ドルに達しており、その処理がいずれ問題になってきそうです。

債務拡大と金価格の関係

米国で2008年に始まったQE1では、FRBは資金供給を4兆ドル増やしました。

同時に大規模な財政出動が行われ、米国の財政赤字は、2009年には約2,420億ドル、2010年には約4,000億ドル拡大しました。

景気後退によるGDPの減少と政府による債務の拡大によって、米国債務のGDP比率は2008年以降急上昇し、2012年には100%を超えています。

金価格チャートを並べてみますと、ほぼ同じタイミングで上昇し、2011年には過去最高値となる1,923.7ドルをつけました。

景気後退は金の安全資産需要を、債務拡大の要因となった大幅な資金供給は金のインフレヘッジ需要を増大させる傾向がありますので、債務GDP比が上昇すれば、金価格は上昇すると考えられます。


では、2020年、コロナショック後の金価格はどうなるのでしょうか。

現在の状況は、2008-2009年の状況と似ていますが、さらに影響が大きくなる可能性があります。

2008-2009年当時は、議論が重ねられた上で量的緩和や利下げの範囲が制限されていたのに対し、コロナショックへの対応では、それがほぼないからです。

FRBのバランスシートは、6月中旬時点で7兆ドルを超えています。

ECBは、 国債購入上限を撤廃し、6月には債券購入プログラムの規模を1.35兆ユーロに大幅に拡大しました。

日本の緊急経済対策は、GDPのおよそ40%にあたる234兆円規模となり、20年度の新規国債発行額は、過去最高の90.2兆円となる見込みです。

ほぼ上限のない債務拡大が、リーマンショック時以上に金価格を押し上げるかもしれません。

債務拡大で金は長期上昇トレンドへ?

中銀が新規国債を買い入れることで、政府は経済対策の資金を(借金として)得ることができます。

また、市中銀行から中銀が国債を買い入れることで、市中への資金供給を増やし、企業や消費者が資金を借りやすくなります。

同時に利下げを行うことで、企業や個人はさらに資金を借りやすくなりますが、中銀が国債を大量に購入すると、国債の市場価格が上昇し、国債金利がさらに低下します。

これは、政府にとっては利払いの減少を意味しますので、実質的に債務が圧縮されることになります。

ただ、中銀のバランスシートは拡大し、政府もいずれは中銀に返済をする時が来ますので、債務を先延ばしにしているとも言えます。

フィナンシャルタイムズのポール・ハノン氏は、国の債務を減らす手段として、①経済の急成長(税収増) ②高インフレ率(債務の実質的な目減り) ③緊縮財政(増税・歳出減など) ④金融抑圧政策(人為的な低金利誘導) の4つを挙げています。

①が理想的ですが、当面は難しそうです。となると、債務縮小のためには、痛みを伴う②~④の手段を実施していくしかありません。

コロナ後は、債務縮小の目的も兼ねて、過剰な資金供給によるインフレがある程度容認されることになるかもしれません。

景気を冷やす緊縮財政の実施は厳しそうですが、政府の利払い負担を低く抑える目的も兼ねて、低金利政策が長期的に続けられる可能性は高そうです。

言い換えれば、インフレ率が上昇しても、簡単には政策金利を上げられない状況が続くかもしれない、ということです。これは非常に危険な状況と言えます。

さらに、債務縮小への取り組みが先送りされたとしても、信用低下による通貨安がインフレにつながる懸念は残ります。

低金利だけでも金価格の強材料となります。また、実際にインフレが加速するかどうかは別として、インフレリスクの高さが、金相場に資金を誘導することは十分あり得ます。

金価格の上昇は、むしろコロナ後に本格化することになるのかもしれません。


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遠藤 結香

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA®)資格を持つ、さくらインベストのチーフアナリスト。堪能な英語力で、国内外の最新情報をカバー。

 

 

 

 

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