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産油国リビアの現状

コラム:産油国リビアの現状

リビアは、地中海に面する北アフリカの産油国です。エジプトの西側に位置し、地中海の対岸には旧宗主国のイタリアがあります。

石油埋蔵量はアフリカ最大とも言われています。OPECの加盟国でもあり、2019年の産油量は、およそ109万バレルです。

「アラブの春」以降のリビア情勢

2011年、40年以上続いたカダフィ政権が崩壊し、2012年には国政選挙による制憲議会(GNC)が誕生しました。

2014年には代表議会選挙が行われ、GNCから代表議会へ権限が移譲されるはずでしたがこれが行われず、リビア国内に2つの議会が並立する事態となりました。

代表議会選挙は、投票の妨害などで投票率が非常に低かったこともありますが、代表議会には世俗主義者が多く選ばれたため、GNCのイスラム教主義者がこれを嫌ったとも言われています。

GNCを支持する武装勢力が首都トリポリを占領したため、代表議会は東部のトブルクに逃れ、新たな政権樹立を宣言しました。

1国に2政府が存在する異常事態の中、各地域の部族やイスラム過激派が勢力を拡大し、地中海沿岸東部のデルナや中部のシルテなどをISILが占領。2015年には、トブルク政府を支援するため、エジプトがISILへの空爆を行いました。

テロの脅威が周辺国にも広がる中、統一政府の樹立に向けて国連が仲介支援を開始。2015年12月には、国連主導でリビア政治合意の署名が行われました。

2016年1月には、リビア政治合意に基づく暫定政権である国民統一政府(GNA)のシラージュ首相が、政治合意案とGNAの組閣案を代表議会に提出して承認を要請。政治合意案は条件付きで可決されましたが、組閣案は否決されました。

2016年3月には、シラージュ首相など首脳評議会が、隣国チュニジアから首都トリポリ入りしました。一時は3つの政治勢力が並び立つ事態となりましたが、GNCはその後、実質的に解散となりました。

2017年9月には、サラーメ国連事務総長特別代表が公表したロードマップに基づいて、統一に向けた東側勢力と西側勢力の対話が開始されました。

しかし2019年4月、東部の有力者ハフタル司令官が、リビア国民軍(LNA)を率いて首都トリポリへの攻撃を開始。内戦が激化し、混乱が続いています。

ハフタル氏は、 カダフィ政権を打倒した勢力の中で高い地位を占めていた人物で、2015年3月に代表議会の軍司令官に任命されました。

米国での生活が長く、イスラム過激派に後れを取らない強い人物として、トランプ大統領とも個人的なつながりがあるとされています。

2019年4月以降の内戦

2019年4月4日、ハフタル氏はLNAにトリポリへの進軍を指示。4月21日には、LNAがトリポリへの空爆を開始しました。

リビア内戦には、石油利権をめぐって様々な国が介入しています。中東湾岸諸国の他、ロシアやトルコが、それぞれ戦力の投入や武器供与を行っています。

GNA側にはトルコやカタールがつき、LNA側にはロシアや、カタールと対立するサウジ・UAE・エジプトなどがついています。

2020年1月には、LNAが石油パイプラインを封鎖した影響で、リビア国営石油会社(NOC)が、リビア南西部のシャララ油田・エルフィール油田からの原油の積み出しについて、フォース・マジュール(不可抗力条項)発動を宣しました。

さらにリビア東部の主要港がLNAにより封鎖されたことで、リビアからの原油輸出がほぼ完全にストップする事態に。

国連や欧州諸国が停戦を呼びかけ、2020年2月以降、交渉の場が数回持たれたものの、停戦合意には至っていません。

2020年5月以降は、トルコの支援を受けたGNAが、攻勢に転じています。

6月初旬には、LNAはトリポリの南西にある西部の拠点タルフナを失い、後退。GNAは東進し、地中海沿岸部の都市シルテに到達しようとしています。

シルテ~ベンガジには、パイプラインや製油所など、リビアの主要な石油施設が集中していますので、どちらの勢力にとっても重要な地域と言えます。

エジプトのシシ大統領は「シルテはレッドラインだ」として、軍事介入の可能性を示唆してGNA側をけん制しています。

LNAがトリポリ周辺から撤退した後、ハフタル氏はエジプトのカイロに現れ、エジプトのシシ大統領と共に停戦を呼び掛けましたが、GNA側は応じていません。

その前日には、シラージュ首相がトルコのアンカラに現れ、トルコのエルドアン大統領とともに「敵の殲滅」を誓っています。

攻守が逆転しても、リビア内戦の終わりはまだ遠いようです。対立と混乱が激化し、原油生産への影響が長引く可能性も指摘されています。


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遠藤 結香

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA®)資格を持つ、さくらインベストのチーフアナリスト。堪能な英語力で、国内外の最新情報をカバー。

 

 

 

 

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