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原油の生産を停止するとどうなる?

コラム:原油の生産を停止するとどうなる?

油井からの原油産出を止めることを「シャットイン」と言います。

ライスタッド・エナジーのアナリスト、テオドラ・カウイー氏は「シャットインは、産油業者にとって非常に痛みを伴うため、損失を出しながらでも操業を続けることが多い」と述べています。

原油の生産を停止すると、どのようなことが起こるのでしょうか?

ケース1 シェール油井の場合

シェール油井の場合、近くの油井で水圧破砕が行われている間、生産を停止することはよくあるようです。

また、メンテナンスのための一時的な生産停止も、定期的に行われています。

ただ、メンテナンス時にはリグやその他の装置を取り出す必要があり、1時間当たりで約500ドルのコストがかかります。

長期の停止や、油井を完全に閉じる場合には、装置等を取り除くための費用が7.5万ドル以上かかるそうです。

短期間の停止は、技術的にはそれほど難しくないようですが、それなりにコストがかかるようです。原油が安い時にはなかなか厳しそうです。

一方、採掘が長期間にわたって停止した場合は、採掘可能量が減少することも懸念されます。

採掘を停止することで岩石内の圧力が高まるため、周囲の岩盤の圧力が低い油井では浸透圧が変化することがあります。

それにより原油が消散してしまったり、停止前と同じ方法での採掘が難しくなる可能性が高いのです。

さらに、クロスフローの懸念もあります。

クロスフローとは、シャットインによる圧力の変化を受け、岩石内で原油やガスが高圧部から低圧部へ流れることです。

低圧部へ流れた原油を取り出すのは困難ですし、原油成分が別の炭化水素成分と混ざってしまい、分離できなくなる可能性もあります。

また、停止中に油井内に水がたまると、油井が使用できなくなる可能性があります。

シェール油井はまっすぐでないものも多く、油井にたまった水を抜くのは時間もコストもかかります。水だけでなくパラフィンやタールがたまってしまうこともあり、将来の生産に悪影響を与えることもあり得ます。

ケース2 海底油田の場合

メキシコ湾の海底油田では、シェール油井に比べ、原油の生産を停止させること自体が難しいようです。

問題の1つは、長期間操業停止した場合、原油が海底のパイプラインの中で詰まってしまう可能性があることです。

メキシコ湾岸の油田プラットフォームでは、ハリケーンの接近時などに短期的に操業停止することはありますが、長期的な停止は実現不可能と言われています。

また、操業停止と再開には、非常に大きなコストがかかります。

ウッド・マッケンジー社の試算によりますと、操業停止時には海底ポンプの引き揚げなど、少なくとも23万ドルがかかるようです。

再開時にも機器の修理や再導入などで、50万ドル以上かかることがあるようです。

RSエナジー・グループのイアン・ニーボワー氏は「(長期の油田閉鎖は)最悪の選択肢だ」と述べています。

ケース3 オイルサンドの場合

カナダのオイルサンドの場合、油井の停止はリスクが伴います。

オイルサンドは非常に流動性が低いため、油井内で加熱して採掘しています。

操業を停止すると、オイルサンドが冷えて固まってしまい、採掘できる量が大きく減少する可能性があります。

供給過剰による原油安を受けて、油井の操業停止が増加しています。

操業停止のリスクやコストを考えますと、原油価格が回復した後に、停止前と同レベルで再稼働できる油井は、相当少なくなるかもしれません。

コロナ後には、需要も供給も元の水準に戻らない、という事態も考えられそうです。



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