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なぜ米原油価格だけが崩壊したのか? 

コラム:なぜ米原油価格だけが崩壊したのか?

2020年4月20日、米WTI原油先物(5月限)は300%以上の大幅下落となりました。一時はマイナス40.32ドルまで落ち込み、終値も史上初のマイナス価格に。

一方、欧州のブレント原油や、中東のドバイ原油の価格は、それほど大きく下げていません。

なぜ、世界のマーカー原油の中で、WTI原油価格だけが大きく下げたのでしょうか?

米原油在庫の状況

理由の一つとして考えられるのが、米原油在庫の状況です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で原油需要は大幅に減少し、4月中はまだ大規模な協調減産も行われていないことから、原油在庫が急速に積みあがっています。

EIAの週間原油統計によりますと、米国内の商業用原油在庫量は、先週までの3週間で、一気に約4,800万バレル増加しています。

また、WTI原油先物の受渡場所でもあるオクラホマ州クッシングの原油在庫量も急激に増加していて、数週間でいっぱいになる見通しとなっています。

このような状況下で供給過剰が強く意識されて、原油価格に強い下押し圧力がかかっているのは間違いなさそうです。

また、米国では、原油在庫データが毎週発表されることもあって、米原油価格は在庫状況の影響を受けやすくなっているという面もあります。

原油ETFの投げ売り

4月20日というタイミングから、真犯人(?)と目されているのが、原油ETFのポジション解消による原油売りです。

ブルームバーグによりますと、前週の時点で、今回暴落した2020年5月限WTI原油先物買いポジションのうち、約25%が原油ETFのUSOによるものだったようです。

2020年5月限の取引期限は4月20日で、翌日以降買いポジションを持っていた場合、5月末までに原油の現物を引き取る必要があります。

原油を引き取れない買いポジションを解消-つまり売ろうとしたものの、需要がない中で買い手もつかず、価格がどんどん下がっていった、ということのようです。

この後どうなる?

21日のWTI原油先物価格は、当限が入れ替わって、20ドル付近まで戻しました。

さすがにマイナス価格は一時的なものだったとしても、今後も米原油価格の下振れには、注意が必要となりそうです。

トランプ政権は「米国は原油が余っている」として、サウジアラビアからの原油の輸入をストップすることも検討しているようですが、実現するかは不透明です。

一方、米国の原油在庫については、戦略的石油備蓄(SPR)に原油を買い上げるという案が頓挫して以降、エネルギー省が、SPRの空きスペースを石油企業に貸し出す方向で準備を進めているようです。

SPRの空きスペースは約7,700万バレル分とされていますので、最近のペースで在庫が増え続けますと、5週間ほどでいっぱいになってしまいます。

それまでに、需要回復の見通しが立つ、あるいは、供給が大幅に減少する、といった材料が出て来ればよいのですが、そうでなければ、また「原油たたき売り」が起こりかねません。

当面は、毎週水曜日発表の米原油在庫統計などで、 需給バランスの状況をチェックしたほうがよさそうです。

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遠藤 結香

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA®)資格を持つ、さくらインベストのチーフアナリスト。堪能な英語力で、国内外の最新情報をカバー。

 

 

 

 

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