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原油低価格戦争 米国の切り札とは?

コラム:原油低価格戦争 米国の切り札とは?

2020年3月初旬にOPEC+の減産合意が崩壊した後、サウジアラビアは、ロシアなど他の産油国に対し「原油低価格戦争」を仕掛けました。

サウジは、2020年2月には、産油量を日量968.3万バレルまで減らしていましたが、現在の協調減産期限が切れる今年4月以降は、日量1200万バレル以上まで一気に増産する方針を示しています。

折しもコロナウイルスの感染拡大を受けて原油需要が落ち込む中、供給が大幅に増える見通しとなったことで、原油価格は20ドル付近まで暴落しました。

サウジアラビアの狙いは何でしょうか。

原油生産コストが原油価格を上回っている産油国は、生産をすればするほど赤字が拡大してしまいますので、現在の価格水準が続けば、いずれ生産停止に追い込まれることになります。

一方で、サウジは非常に低コストで原油の生産ができますので、生産コストが高い国や企業を生産停止に追い込み、そのシェアを奪うつもりなのでしょう。

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ただ、サウジの思惑通りに事が進むとは限りません。原油低価格戦争に巻き込まれた自国の企業を救うため、米政権が動き出しました。

トランプ米政権は3月20日、サウジにエネルギー大使を派遣し、協力して原油価格の安定化に取り組むとの考えを表明しました。

米国は、ひとまずサウジと足並みをそろえて対応する姿勢を見せていますが、サウジが減産に応じない場合は、「切り札」を使うのではないかと言われています。

米国の「切り札」とは、いわゆる「NOPEC法」です。

NOPEC(No Oil Producing and Exporting Cartels Act)法とは、「石油生産輸出カルテル禁止法」のことで、石油カルテルによる生産調整や価格操作を禁止する法律です。

米国の独占禁止法である「反トラスト法」には「主権免除」があり、サウジなど主権国家には適用されないのですが、この「主権免除」を撤廃するための法律がNOPEC法です。

米国では、過去に何度か法案が議会に出されましたが、通過・成立したことはありません。

もしNOPEC法が成立した場合、OPEC加盟国が、米国で訴訟を起こされる可能性があります。サウジが訴えられた場合、賠償金などの合計は1兆ドルに達するとの試算もあります。

原油価格が70ドルを超えた2018年、トランプ大統領は、このNOPEC法の成立をちらつかせて原油高の是正をサウジに求め、サウジは減産幅の縮小に応じました。

前回と状況は真逆ですが、米国の介入により、サウジは方針を替えざるを得なくなるかもしれません。


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