原油価格下落 米中協議の進展期待が後退

原油価格は水曜日、やや下落。
WTI原油先物は、日本時間14時59分、前日終値より21セント安い、52.42ドルとなっている。
米中貿易戦争激化への懸念が広がり、原油価格にも下落圧力がかかっているとみられる。
一方、イラクやエクアドルのデモ拡大による供給減少懸念が、原油価格の支えとなっているようだ。
市場は弱気に傾きすぎ? 新たな供給減懸念も
米国が中国政府高官へのビザ発給を制限すると発表する一方、中国では米NBAへの批判が高まるなど、両国関係の悪化が懸念され、米中協議の進展期待も大きく後退しているようだ。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は、貿易摩擦の解決や景気対策がなければ、世界経済の減速が大幅な景気後退につながる可能性がある、と警告している。
一方で、産油国の混乱により、原油供給がさらに減少する懸念も出ている。
イラクでは、首都バグダッドや南部で、反政府デモが拡大している。
RBCのアナリスト、アル・スタントン氏は「デモに加え、シリアのイラク国境近くでクルド人に対するトルコの攻撃が実施されれば、イラクの経済と原油生産が脅かされる可能性もある」と指摘している。
また、エクアドルでは、燃料費補助廃止に抗議する反政府デモが激化。
エクアドルの国営石油会社ペトロアマゾナスは、反政府デモによって、総産油量の3分の1以上にあたる日量およそ18.8万バレルの生産減となると試算している。
OCBC銀行のエコノミスト、ハウィー・リー氏は「世界の石油市場では、供給不足に陥っているにも かかわらず、米中問題を受けてリスク回避の動きが出ている」と指摘。
同氏は「原油価格の理論値は60ドル以上であり、市場は弱気に傾きすぎている」とも述べている。
EIAは7日、2020年の世界の石油需要見通しを10万バレル引き下げて、日量130万バレル増とする一方、米産油量見通しも8万バレル引き下げ、日量91万バレル増と発表した。
足元では需要面に焦点が絞られているが、需給両面を見ていないと足元をすくわれる可能性もある。
本投稿は将来の利益を保証したり、約束したものではありません。また商品先物取引は、元本および利益が保証されている取引ではございません。証拠金に比べて、大きな金額の取引を行うため、ハイリスク、ハイリターンの取引になります。お取引の判断は自己責任にてお願いいたします。